英政府は高性能AIモデルの安全性検証を重視する姿勢を示した。写真=Shutterstock

英国政府は、リスクを十分に制御できない人工知能(AI)モデルは公開すべきではないとの立場を示し、開発企業に安全性の十分な検証を求めた。最新モデルの事前評価を継続するほか、深刻なAI事故の報告制度整備も進める方針だ。

ブロックチェーン関連メディアのCryptopolitanが12日(現地時間)に報じたところによると、英国でAI政策を担当するカニシカ・ナラヤン担当相は、フロンティアAIの開発を巡り、リスクを十分に制御できないモデルは公開すべきではないとの認識を示した。

ナラヤン担当相は、インペリアル・カレッジ・ロンドンで開かれたイベントで「科学者が警告を発するときには耳を傾けるべきだ」と発言。その上で、「予期しないリスクを制御できないのであれば、システムそのものを公開すべきではない」と強調した。

AI開発競争が激しさを増す中でも、公開を急ぐより安全性の検証を優先すべきだという考えを示した形だ。

英国政府は、モデルの事前評価も続けている。ナラヤン担当相は、英国AI安全保障研究所がGoogleのGemini 4 Argonを含む最新世代モデルを評価していると明らかにした。

同氏は、こうした評価について、リスクを早期に把握し、安全対策が実際に機能するかを確認するための手続きだと説明した。

また、モデル評価に必要な事前アクセス権も維持していると強調した。ここ数週間は、その確保に向けて米政府やAI研究機関と連携してきたという。

米政府がOpenAIとAnthropicに対し、英国向けの試験用新モデルの提供を見合わせるよう求めたとの報道もあった。ただ、英国政府が自国研究所のアクセス権喪失を公式に確認したことはないとしている。

政府はサイバーセキュリティ分野でもAI活用を進めている。ナラヤン担当相によると、2件の実証事業でフロンティアAIを活用し、公共サービスの脆弱性を1000件超発見して修正した。

さらに、中央モニタリングサービスを通じて既知の脆弱性へのパッチ適用期間を50日から8日に短縮した。AIが攻撃と防御の双方に使われることを踏まえ、対応体制を政府横断で拡充しているという。

制度面の整備も並行して進める。英国政府は議会と連携し、「サイバーセキュリティおよび回復力法案」を推進。深刻なAI事故に加え、実害に至るおそれがあった事案についても報告の枠組みを整える計画だ。

自律的に行動するエージェント型AIを巡っては、事故管理のあり方や被害者支援の枠組みも検討する。

ナラヤン担当相はまた、英国が来年、主要20カ国・地域(G20)の議長国を務める際、AIを主要議題として扱う方針も明らかにした。政府は12日午後、初の技術標準の草案を公表する予定で、英国AI安全保障研究所がその策定で中心的な役割を担うとしている。

英国政府は、最新モデルの事前評価から公共部門のセキュリティ強化、事故報告制度の整備まで、AIの安全管理体制を幅広く強化する考えだ。

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