フランスで、ビットコインやイーサリアムをUSDCなど一部のステーブルコインに交換する取引を課税対象に含める税制改正案が前進した。損益計算に用いる取得価額の算定方法も見直し、2027年1月1日以降の処分・交換から適用する方針だ。
ブロックチェーンメディアCryptoSlateによると、フランス下院の財政委員会は7日、改正案「I-CF1826」を採択した。個人による暗号資産投資の損益計算方式を改めるとともに、一部の暗号資産同士の交換を課税繰り延べの対象外とする内容で、今後成立すれば2027年1月1日以降に行われる処分・交換に適用される。
現行のフランス税務指針では、法定通貨の受け取りを伴わない暗号資産同士の交換については、課税の繰り延べが認められている。一方、暗号資産を法定通貨に換える取引や、商品・サービスの決済に充てる取引は課税対象となり得る。今回の改正案では、交換で受け取る資産が欧州連合(EU)の暗号資産規制「MiCA」における「電子マネー・トークン(EMT)」に該当する場合、繰り延べを認めない。
改正案の提出側は、法定通貨担保型ステーブルコインへの交換でも課税を繰り延べられる現行制度を「立法上の抜け穴」とみている。価格変動リスクを抑えるために暗号資産をステーブルコインへ移す投資家にとっては、課税のタイミングが早まることになる。
取得価額の計算方法も変わる。現行制度では、暗号資産ポートフォリオ全体の取得原価の一部を各課税取引に配分して損益を計算している。これに対し改正案では、処分した資産の取得価額を基準に損益を算定する。同一銘柄を異なる価格で購入していた場合は、加重平均取得価額を用いる。
2027年以前に取得した資産については経過措置を設ける。投資家は、実際の取得価額を立証して適用する方法か、2026年末時点で従来方式に基づいて算出したポートフォリオ全体の取得原価を、各資産の評価額の比率に応じて配分する方法かを選択できる。
選んだ方式は、2027年以降で最初の課税取引を申告する時点で確定し、ポートフォリオ全体に適用される。その後の変更は認められない。
このため、どの方式を選ぶかによって、同じ取引でも課税対象となる利益額が変わる可能性がある。実際の取得価額方式は当該資産の購入コストをそのまま反映する一方、配分方式ではポートフォリオ全体に占める評価額の比率に基づいて取得価額を再設定するためだ。
交換で受け取った資産の取得価額も、課税の有無によって異なる。課税が繰り延べられる交換では、既存資産の取得価額が新たな資産に引き継がれる。課税対象となる交換では、取引時点の評価額が新たな取得価額となる。例えば、ビットコインをUSDCに交換した時点で利益に課税された場合、その後USDCを同額で売却しても追加の利益は発生しない。
損失処理の制限は維持される。フランス税務当局の指針では、同一課税年度に発生した暗号資産の損益は相殺できるが、純損失を翌年に繰り越したり、他の資産の利益と相殺したりすることはできない。損失と利益の発生年度がずれると、最終的な資産価値が当初の水準に戻っていても課税される可能性がある。
法案成立までには、なお手続きが残る。2027年予算案の資料では、フランス下院本会議での審議日程を13日に設定している。今後の審議では、ステーブルコイン交換課税の適用範囲と、取得価額の算定方法がどのように確定するかが焦点となる。