豪州ASICは、暗号資産で決済する一部デリバティブにCFD規制を広げる案を示した。写真=Shutterstock

豪州証券投資委員会(ASIC)は12日、暗号資産で決済される一部デリバティブについて、差金決済取引(CFD)向けの規制を適用対象に加える改正案を公表した。レバレッジ上限やマイナス残高保護など、個人投資家向けの保護措置を広げる内容で、11月9日まで意見を募集する。

Cointelegraphの報道によると、今回の改正案の柱は、CFD規制の対象範囲の見直しにある。CFDは、原資産を直接保有せず、価格変動に連動して損益が決まる契約を指す。現行制度では通常、現金決済または当事者間の相殺によって清算される契約が対象となっている。

これに対しASICは、デジタル資産の移転によって決済される契約も規制対象に含める方針を示した。暗号資産そのものではなく、他の資産価格に連動する契約であっても、CFDの要件を満たせば対象となる可能性がある。既存のCFDルールを、デジタル資産の移転で決済する契約にも広げる考えだ。

一方で、すべての暗号資産関連デリバティブが対象になるわけではない。ASICは、満期日が固定されている一部の暗号資産先物やオプションについては、CFD規制の対象外にとどまると明示した。商品設計によって適用の可否が分かれるため、取引所やデリバティブ提供事業者には、自社商品の法的位置付けを改めて確認する必要が生じそうだ。

オーストラリアでは2021年からCFD規制を運用している。現行ルールではレバレッジに上限を設けるほか、口座資金が一定水準を下回った場合にはポジション解消を求める措置を導入している。マイナス残高保護も盛り込み、顧客の損失はCFD取引口座内の資金に限定される。ASICは今回の改正を通じ、こうした保護措置を暗号資産建ての一部契約にも広げる狙いだ。

ASICは、改正案の詳細について11月9日まで意見を受け付ける。業界からの意見を踏まえ、最終的な規制文言が調整される可能性がある。

今回の動きは、オーストラリアで進むデジタル資産規制の整備とも軌を一にする。オーストラリアは4月、暗号資産取引所とトークン化カストディ・プラットフォームを金融サービスの認可枠組みに組み込む法案を可決した。新制度は2027年4月9日に施行される予定だ。

これに関連してASICは、既存の金融サービス法の下で一時的な執行猶予を前提に事業を続けてきた暗号資産企業に対し、9月30日までに正式な認可申請、または既存認可の変更手続きを進めるよう求めている。

今回の提案は、暗号資産そのものに対する規制にとどまらず、デジタル資産を決済手段として用いるデリバティブ契約まで監督範囲を広げる内容となる。今後は、どの金融商品がCFDの要件に該当するのか、また固定満期型の先物やオプションなど対象外となる商品の線引きをどこまで明確にできるかが焦点となる。

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