即時決済の普及を背景に、米銀では本人確認や受取口座確認の負担が増している。写真=ChatGPT

米国で即時決済の普及が進むなか、銀行の本人確認や受取口座の事前確認にかかる負担が増している。送金の即時化で利便性は高まった一方、誤送金や金融詐欺が発生した場合に資金を取り戻しにくく、送金前の確認体制の重要性が一段と高まっている。

American Bankerが12日付で報じたところによると、米国では英国や欧州連合(EU)のように、銀行に受取人確認を一律に義務付ける全米共通の規制が整っていない。このため、金融機関ごとに口座確認の手法やセキュリティ水準に差が出ているという。

Prometeoの共同最高経営責任者(CEO)、シメナ・アレマン氏は、「いまなお一部の銀行は、少額のテスト入金や行員による手作業の確認に依存している」と指摘した。口座番号を1桁誤って入力しただけでも、別人への誤送金につながりかねないとしている。

即時決済は、一般的なカード決済と比べて、取引後の取り消しや返金が難しいケースが多い。このため、送金前に口座の有効性や受取人情報を確認する手続きが重要になる。

米連邦準備制度理事会(FRB)は、受取人名の照合に関する取り組みを進めている。即時決済網「FedNow」でも、受取口座情報を事前に確認する機能の拡充を進めている。

詐欺検知の自動化も進みつつある。銀行はAIや機械学習を活用し、顧客の通常の取引パターンを分析したうえで、初回送金や不自然な高額送金などを検知する。リスクが確認された場合は、取引を一時保留し、追加確認を行うことも可能だ。

もっとも、自動化の浸透はなお限定的だ。FRBが400超の金融機関を対象に実施した調査では、71%がマネーロンダリングに関連する疑わしい口座の特定に手動レビューを活用していた。自動化された審査手法の導入率は半数に届かなかった。

専門家は、即時決済の普及が進むほど、送金スピードとセキュリティの両立が重要になると指摘する。不正防止の主戦場は、送金後の対応ではなく、送金前の確認に移っている。

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