IntelとBroadcomの最高経営責任者(CEO)は12日、人工知能(AI)市場の成長を左右する最大の制約として、半導体や電力の供給不足ではなく、資金と資本コストを挙げた。足元ではAIインフラ需要が強い一方、金利上昇に伴う調達コストの増加が、中長期の成長に重荷になるとの見方を示した。
CNBCによると、両氏はシンガポールで開かれた「DBS Asia Future Forward」カンファレンスで、AI関連投資の持続性について言及した。Broadcomのホック・タンCEOは、AI拡大を阻む最大の要因として資本を挙げ、「最大の制約は資本かもしれない」と述べた。
AIモデルの高度化が進むほど、それを支えるデータセンターや先端半導体、電力インフラには巨額の投資が必要になる。こうした環境では、資金をどの条件で確保できるかが、業界の成長ペースを左右しかねない。
Intelのリップブー・タンCEOも同様の認識を示した。同氏は「目の前の課題があるとすれば、資本とそのコストだ」としたうえで、長期的には企業がAI投資から実際の収益を生み出せるかどうかを市場が見極める局面に入ると語った。
継続的に資金が投じられても、投資収益率が伴わなければ拡大ペースは鈍る可能性があるという見立てだ。
こうした発言の背景には、AIインフラ投資を巡る足元の構図がある。業界は需要急増に備え、データセンターや先端半導体、電力設備への大型投資を続けてきたが、借り入れコストの上昇が負担を重くしている。
債券利回りの上昇は、データセンター建設や半導体調達にかかる資金コストを押し上げる可能性がある。投資回収に時間を要する案件ほど、採算面での圧力は強まりやすい。
もっとも、両社は短期の需要動向には強気の姿勢を崩していない。ホック・タン氏は「当社が供給できる量を上回るコンピューティングインフラ需要がある」と述べた。
さらに、この需給逼迫が2029年を超え、2030年まで続く可能性にも言及した。リップブー・タン氏も、AIアプリケーションの拡大と計算需要の増加を理由に、今後2~3年で業界が大きく減速する可能性は低いとの見方を示した。
一方で、現在の供給制約はいずれ和らぐとの見通しも示している。ホック・タン氏は、業界はこの2年間で複数回の供給逼迫に直面したものの、最終的には乗り越えてきたと説明。足元のメモリ不足についても、1年後には同じ論点ではなくなっている可能性があると述べた。
また、ウエハー不足は2028年か2029年ごろに緩和し、新たなインフラの稼働が進めば電力需給も改善するとの見方を示した。
そのうえで、焦点はさらに先にある。両社は、AIの長期成長を維持するには、企業によるAI導入が一段と広がり、技術が実際の経済効果を示す必要があるとみている。
Broadcomは、高度なAIモデルの導入効果が期待を下回ったり、性能向上のペースが鈍化したりすれば、コンピューティングインフラ需要そのものが冷え込む可能性があると警告した。
Intelも、今後は企業が業務効率の改善や新たな事業モデルの創出を通じて、AI投資の成果をより明確に示す必要があると強調した。
AI業界の関心は、半導体の供給拡大から、資金調達の持続性と投資対効果の検証へと移りつつある。短期的にはインフラ需要が市場を支える構図が続くとみられるが、中長期では、低コストで資金を確保し、投資成果を立証できるかどうかが競争力を左右する要因になりそうだ。