欧州連合(EU)が国境をまたぐ鉄道移動の利便性向上に向けた制度整備を進める中、国際鉄道の予約対象範囲や乗り継ぎ時の保護をさらに広げるべきだとの指摘が出ている。複雑な予約手続きが、航空機から鉄道への移行を妨げているためだ。
CleanTechnicaが12日(現地時間)に報じたところによると、欧州の環境団体Transport & Environment(T&E)は、EUの「乗客パッケージ」について、鉄道利用の利便性を高める前進だと評価する一方、気候目標の達成にはなお不十分だとの見方を示した。
欧州委員会が5月に提案した乗客パッケージは、異なる鉄道事業者の乗車券を一括で購入しやすくし、乗り継ぎに間に合わなかった場合でも乗客の権利を保護することを柱としている。
ただ、T&Eは現行案の対象範囲が実質的に近距離の越境移動に偏っており、長距離の国際鉄道利用の拡大にはつながりにくいと指摘した。
T&Eの委託調査では、長距離鉄道の利用者の61%が、予約手続きの複雑さを理由に列車での移動を1回以上断念した経験があることが分かった。
T&Eは、主要鉄道事業者に対し、EU加盟国の首都間を結ぶ1500km以内の旅程のうち、乗り継ぎが2回以下の区間については、乗車券を通しで購入できるよう販売義務を広げるべきだと提案した。代表例としてブリュッセル―マドリード間を挙げている。
また、事業者ごとに異なる乗車券の発売開始時期も見直しが必要だとした。フランスのSNCFとスペインのRenfeで予約開始日が異なる場合でも、同じプラットフォーム上で区間を追加購入した場合には、旅程全体について乗客の権利を維持すべきだと主張している。
列車の遅延で乗り継ぎに間に合わなかった際には、別の事業者が運行する代替列車を利用する権利も認めるべきだと求めた。特定事業者の次の列車を待つしかない状況は避けるべきだとしている。
T&Eは、こうした改善が実現して初めて、長距離鉄道が航空便の実効的な代替手段として定着し、EUの温室効果ガス削減にも貢献できると強調した。