モスクワ取引所は12月の暗号資産取引開始に向け、専門投資家を対象に試験運用を始めた。提携するデジタル預託機関を通じて業務フローを確認しており、取引開始にあたって追加の認可やライセンスは不要との見解を示している。
12日付のBitcoin Magazineによると、同取引所は専門投資家とともに運用手順の検証を進めている。取引開始時期は12月を見込む。
取引は、決済を担う提携先のデジタル預託機関を介した枠組みで運営する。投資家は同機関に口座を開設した上で売買に参加する。モスクワ取引所で営業・事業開発を担当するシニア・マネージングディレクター、ボリス・ブロヒン氏は、開始に向けた別途の認可やライセンスは不要だと述べた。
今回の取り組みは、ロシアが9月に施行したデジタル通貨およびデジタル権利に関する法制度に基づくものだ。同制度では、ロシア国内の暗号資産を対象とする包括的なルールが整備された。
これにより、既存の取引所やブローカー、信託管理者といった金融インフラを活用した取引が可能になった。暗号資産の売買を担う交換サービスや、所有権記録を担うデジタル預託機関の新規参入も認められている。
金融機関による対応も進んでいる。ロシア最大の銀行であるSberbankは先月、国内で初めてビットコインのカストディ業務に関する承認を取得したと発表した。
ロシア中央銀行はSberbankに対し、デジタル通貨の記録管理と当該資産の移転支援を認めた。対象にはビットコインのほか、ビットコイン以外の小規模な暗号資産も含まれる。
一方で、ロシアはビットコインを巡り、容認と規制を併用する姿勢を取っている。ウラジーミル・プーチン大統領は2024年のフォーラムで、「ビットコインを誰が禁止できるのか。誰にもできない」と発言したことがある。
ただ、ロシアは2022年以降、暗号資産を決済手段として用いることを違法としている。
投資家区分によって取引可能な範囲も異なる。非適格投資家は、1つの仲介機関を通じて年間30万ルーブルを上限に、ビットコインとステーブルコインを購入できる。
これに対し、適格投資家は取引所市場と店頭市場(OTC)で扱うすべての暗号資産を、上限なく購入できる。
こうした動きの中で、ロシアでは暗号資産の取引・保管インフラの制度整備が段階的に進んでいる。プーチン大統領は10月、デジタル通貨とデジタル権利の規制を法制化する文書に署名した。
モスクワ取引所が予定通り12月に取引を始めれば、ロシアの暗号資産市場では、既存の金融インフラを通じた制度下での運用が一段と具体化する見通しだ。