Tossの金融研究機関であるTossInsightは13日、マイデータ利用者の実際の金融情報を分析した結果、複数の金融機関に分散する情報を個人単位で統合することで、従来の信用情報だけでは把握しにくかった返済余力や資金逼迫の変化を捉え、延滞リスクの早期検知につなげられると発表した。
分析によると、資金逼迫が高い状態が3カ月続いた層では、その後3カ月間の新規延滞率が2.1%だった。1カ月のみ高水準だった層は0.8%で、約2.6倍の開きがあった。
TossInsightは、口座やローン、カードなど複数の金融機関にまたがる情報を合わせて分析することで、利用者の資金繰りの変化をより具体的に把握できるとしている。事前通知や相談対応につなげれば、延滞発生前の返済計画の見直しや支援策の検討にも活用できるという。
また、既存の信用履歴だけでは十分に評価しにくい利用者の返済能力を補完する用途でも、マイデータは有効だとした。信用履歴が乏しくても足元の返済余力が高い層では、その後3カ月間の新規延滞率が0.23%となり、信用履歴が類似する比較対象層の0.57%を下回った。水準は半分以下だった。
TossInsightは、信用履歴の乏しさと実際の返済能力の低さは切り分けて評価する必要があると指摘した。
利用実態の分析では、マイデータ利用者がすでに多くの金融機関と取引していることも分かった。7月末時点で、Tossのマイデータに金融情報を連携した成人利用者は、平均16の金融機関と連携しており、このうち平均10の金融機関で預金、ローン、カード、保険などの実際の取引が確認された。
同社は、金融機関の競争軸にも変化が生じる可能性があるとみている。カード、証券、保険の各分野では、自社の取引情報だけを使うよりも、他社の記録まで含めて分析した方が、顧客の将来の金融取引予測が実態により近かったという。
カード利用でも差が見られた。比較可能なカードを2枚以上保有する利用者のうち、約4人に1人は、他社カードの利用履歴も含めて分析すると、最適なカードが変わった。新規発行を伴わなくても、既に保有しているカードの使い方を調整するだけで、顧客メリットを高められる可能性があることを示したとしている。
TossInsightは、マイデータの活用が広がるほど、金融機関の競争基準は単なる「情報保有量」から、顧客にどれだけ有用な金融サービスや選択肢を提供できるかへ移る可能性があると展望した。
TossInsightのノ・ユチョル研究委員とキム・テリン研究委員は「マイデータは、分散した情報を個人中心で集約し、返済能力をより正確に説明できる。金融機関がより良いサービスで競争することを促す可能性もある」とコメントした。