Mastercardは、AIとステーブルコインを活用して国際送金基盤を強化する。銀行やフィンテック企業が複数の決済ネットワークを横断して資金移動できるようにし、送金の迅速化や透明性向上、コスト低減につなげる考えだ。
12日付のFinTech Futuresによると、Mastercardで送金ソリューション部門のグローバル統括を務めるプラティク・コワラ氏は、米マイアミで開かれた金融業界イベント「Sibos 2026」のインタビューで、国際送金の高度化に必要な要素として、スピード、正確性、信頼性、協業を挙げた。
同氏は、従来の国際送金には処理に時間がかかるうえ、資金移動のプロセスが見えにくいという課題があると指摘した。送金後、数日が経過しても進捗や最終的な受取額が分かりにくい仕組みでは、利用者の期待に応えにくいという。
こうした課題への対応策として、Mastercardは資金移動プラットフォーム「Mastercard Move」の拡充を進めている。銀行口座と電子ウォレット、法定通貨とステーブルコインを複数の決済ネットワーク上で接続し、送金側と受取側の選択肢を広げる狙いだ。
中核となるのは、複数の決済ネットワークから最適な経路を選ぶ「マルチレール」戦略だ。Mastercardは銀行やフィンテック企業に対し、効率的な送金ルートを選定するエンジンを提供するほか、決済トラッキング、不正リスク評価、清算といった機能も組み合わせる。
AIは、制裁対象取引やマネーロンダリング対策(AML)に関するリスク評価の精度向上に活用する。ステーブルコインについては、24時間送金できる特性を生かし、国際送金に必要な流動性確保コストを抑える手段として位置付ける。
Mastercardは、既存のカード決済ネットワークで培ってきた運用ノウハウと信頼性を、国際送金分野にも広げたい考えだ。一方で、各国で規制や決済インフラの状況が異なるため、実際のサービス範囲やコスト削減効果は導入先の環境によって左右される可能性がある。