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イングランド銀行(英中央銀行)は、デジタル・ポンドの導入を急がない姿勢を改めて示した。年内に導入推進の可否を判断する予定だが、当面は中央銀行デジタル通貨(CBDC)の必要性を慎重に見極める構えだ。一方で、ポンド建てステーブルコインの制度整備は先行して進める。

ブロックチェーン専門メディアのCryptopolitanが12日(現地時間)に報じた。イングランド銀行は年内にデジタル・ポンド推進の是非を判断する予定で、現時点ではCBDCを急いで導入する必要はないとの認識を示している。

サラ・ブリーデン副総裁は、デジタル決済を巡る技術革新のスピードを踏まえ、中央銀行がデジタル・ポンドを急ぐ理由は乏しいと説明した。商業用ステーブルコインやトークン化預金が、デジタル・ポンドに期待されてきた決済機能の一部を担えるとの見方を示した。

イングランド銀行が特に重視しているのは、ポンド建てステーブルコイン市場の育成だ。英国の家計や企業が新たな決済サービスを利用する過程で、資金が米ドル連動型ステーブルコインへ流出するのを防ぐ狙いがあるという。2025年末時点のポンド建てステーブルコインの規模は600万ドル(約9億円)未満にとどまり、総額3080億ドル(約46兆2000億円)の市場全体に占める存在感はなお小さい。

イングランド銀行と英国財務省は、2026年末までにデジタル・ポンドの設計作業を終える計画だ。イングランド銀行は3月4日に公表した進捗報告書で、Digital Pound Labの実証結果や業界、市民社会からの意見を踏まえ、具体的な設計の青写真をまとめるとしている。

その上で、両機関は共同評価を実施し、デジタル・ポンドによる決済の近代化を引き続き進めるかどうかを判断する方針だ。ブリーデン副総裁の「急ぐ理由はない」との発言は、イングランド銀行内の慎重姿勢をにじませたものとも受け止められている。

これに対し、ステーブルコインの制度整備はデジタル・ポンドよりも速いペースで進んでいる。イングランド銀行は2026年6月22日、システム上重要なポンド建てステーブルコイン発行体を対象とする政策声明と実務規定の草案を公表した。

同案では、従来検討していた保有上限を撤回し、400億ポンドの一時的な発行ガードレールを示した。発行体は準備資産の最大70%を短期の英国債で保有できる一方、残る30%はイングランド銀行に無利子で預け入れる必要がある。

償還ルールも具体化した。償還請求は24時間以内に処理しなければならず、保有者への利息支払いは禁止する。デジタル・ポンドの判断に先立ち、民間ステーブルコインのルール整備を先行させる構図となっている。

デジタル・ポンドの実際の用途を見極める実証も続いている。イングランド銀行の「Digital Pound Lab」は、Polygon Labs、Novo Finance、Dun & Bradstreetと共同で、国境をまたぐ貿易金融のテストを進めている。

実証では、ステーブルコインと模擬的なデジタル・ポンドが、同一取引における異なる決済段階を処理できるかどうかを検証している。

ただ、同ラボは実際の資金や顧客を用いておらず、今回の実証がデジタル・ポンド発行の決定を意味するものではないと説明している。第2段階の申請受付は2026年3月末に締め切られた。

こうした流れを踏まえると、英国のデジタル決済戦略は当面、CBDCよりもステーブルコインの制度化と活用実証に重点が移る公算が大きい。年内に示されるイングランド銀行と英国財務省の共同判断が、デジタル・ポンド推進の大きな分岐点となりそうだ。

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