ビットコインは12日、8万4000ドル台の定着に失敗して反落した。ウクライナ情勢と中東情勢を背景に原油価格が急騰し、インフレ再燃への警戒が強まる中、市場の関心は米消費者物価指数(CPI)と米生産者物価指数(PPI)に移っている。
Cointelegraphによると、BTCはBitstampベースで一時8万4254ドルまで上昇した後、下げに転じた。週初からの上昇分を打ち消し、終盤は2.2%安となった。
相場の重荷となったのは、地政学リスクの高まりだ。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアがエネルギーインフラへの攻撃を続けていると非難した。
これに先立ち、米国のドナルド・トランプ氏は攻撃停止に向けた猶予措置を打ち出していたが、その実効性に対する懐疑が強まった。イランも、ホルムズ海峡でタンカー1隻が攻撃を受け、火災が発生したと明らかにした。
原油市場はこれに即座に反応した。WTI先物は1バレル94ドルを上回り、ブレント原油は107.25ドルまで上昇。9月16日以来の高値を付けた。
市場ではすでに、米CPIとPPIの発表を前に警戒感が強まっていた。特に原油高は、インフレ指標を押し上げる要因になり得るとの見方が意識されている。
もっとも、暗号資産デリバティブ市場が一方向に弱気へ傾いたわけではない。QCP Capitalは、ビットコインのオプション市場では下値ヘッジ需要と上方ブレイク期待が併存しているとの見方を示した。
現物相場がレンジ内に戻る中でも、インプライド・ボラティリティは底堅く推移したという。
一方で、今回の原油高にはリスクプレミアムが過度に織り込まれているとの見方もある。Goldman Sachsの元為替チーフストラテジスト、ロビン・ブルックス氏は、原油価格に過大なリスクプレミアムが上乗せされていると指摘した。
同氏によると、ペルシャ湾発の原油輸送量は足元で日量1300万バレル程度と、数日前のピークだった1650万バレルは下回るものの、3〜4月の戦争緊迫局面と比べれば良好な水準にあるという。
テクニカル面では、8万3400ドル近辺が上値抵抗として意識されている。トレーダーのRekt Capitalは、この水準について、8月中旬から9月21日にかけてビットコインが上抜け前にもみ合った7万7000ドル近辺と似た役割を果たしているとの見方を示した。
需給面では、現物市場の上下に厚い注文が積み上がっている。CoinGlassの集計では、取引所の売り注文は8万4500ドル近辺に集中し、規模は約1億8000万ドルだった。
一方、買い注文は8万2000ドル近辺で増加しており、現物価格もその水準に向かう動きとなった。
今後の焦点は、米物価指標の結果に移る。原油急騰が一時的なショックにとどまるのか、それともインフレ懸念を再び強めるのかが、ビットコインの短期的な方向感を左右する可能性が高い。
オプション市場では下方防御の需要が続く一方、上方ブレイクのシナリオも完全には後退していない。原油価格の行方と米物価指標の内容を、暗号資産市場は同時に見極めようとしている。