Sonyの上位ゲーム機「PS5 Pro」を巡る供給逼迫が長期化する可能性が高まっている。11月19日に発売予定の「GTA 6」が需要をさらに押し上げるとの見方が強く、店頭在庫の不足に加え、価格上昇や転売の過熱が続く公算が大きい。
米ITメディアのEngadgetが10月11日付で報じたところによると、Sonyは流通パートナーに対し、「一時的な供給制約と高水準の需要」を理由に、小売店の在庫不足が来年まで続く見通しだと伝えたという。
最大の焦点は「GTA 6」の発売だ。次世代級のグラフィックスや大規模なオープンワールドへの期待から、最新コンソールの確保に動くユーザーが増えるとみられており、PS5 Proの入手は一段と難しくなる可能性がある。
PS5 Proは2024年11月に発売された。強化したGPU、60fps動作の安定性向上、レイトレーシング性能の強化、2TBストレージ、AIベースのアップスケーリング機能を備える上位モデルだ。発売から約2年がたった現在も供給制約は解消しておらず、価格は発売時の希望小売価格699.99ドル(約10万5000円)を200ドル上回る水準まで上昇している。
在庫不足の長期化を受け、転売市場も過熱している。Best Buyでは、再販売業者がPS5 Proを1539ドル(約23万1000円)で出品した例も確認された。限られた再入荷分と薄い店頭在庫が、転売価格の押し上げにつながっている格好だ。
こうした供給難は、Sony固有の問題にとどまらない。2020年には世界的な半導体不足でPS5の生産に支障が生じ、数カ月待ちが3年以上にわたって常態化した。今回はAI投資の拡大で高性能チップの需給が逼迫し、家電全般で調達制約と価格上昇を招いているという。
米国の半導体生産には過去5年半で7700億ドル超(約115兆5000億円)が投じられたが、足元の需要水準を踏まえると、供給正常化にはなお時間がかかるとの指摘も出ている。
他の機器市場でも同様の動きがみられる。AppleとMicrosoftが部品開発費やAIハードウェア投資の負担を価格に反映させた結果、今年のノートPC価格は20%上昇したとされる。韓国ではDRAMとフラッシュメモリの工場渡し価格が、それぞれ445%、244%急騰した。
Sonyは日本市場で対策にも乗り出した。PS5 Proの購入希望者を対象に抽選販売を導入し、転売目的の購入を抑えるため、一定時間以上のゲームプレイ実績といった条件も設けた。供給が需要に追いつかない状況が続けば、こうした販売方式が他市場にも広がる可能性がある。
一方で、「GTA 6」がPS5 Proの性能をどこまで引き出せるかはなお不透明だ。PlayStationは、画質やパフォーマンスが改善したタイトルに「PS5 Pro Enhanced」の表記を付けているが、SonyとRockstar Gamesは「GTA 6」がPS5 Proでどのように変わるのか、具体的な説明をしていない。
今夏には、PS5 Proで60fps対応が可能との観測も浮上した。ただ、Rockstar Gamesの経営陣は、両コンソールとも30fps動作になるとの立場を維持している。公式プレビュー映像もPlayStation 5で30fps再生だった。
専門家の間では、ゲームの規模を考えると、PS5 Proでも高フレームレートを安定維持するのは容易ではないとの見方が出ている。CPU性能の向上幅が約10%にとどまるため、群衆や車両表現では一定の効果があっても、全体の性能改善は限定的になり得るという。
一方、映像表現での優位性は残る可能性がある。PS5 Proはレイトレーシング性能を強化しており、反射やライティング表現で差が出る余地がある。ただ、SonyがPS5向けAIアップスケーリング機能「QSSR」を基本モデルにも適用したことで、両機種の体感差は想定ほど大きくならない可能性も指摘されている。
年末商戦と「GTA 6」の発売が重なる局面では、PS5 Proの供給状況と実際の性能差が、消費者の購買判断を左右する主要な要因になりそうだ。