シン・ヒョンソン韓国銀行総裁が国政監査で答弁する。写真=聯合ニュース

韓国銀行のシン・ヒョンソン総裁は12日の国政監査で、物価上昇圧力と金融不均衡への警戒を背景に、追加利上げの可能性を維持する考えを示した。首都圏の住宅価格上昇と家計債務の増加もリスク要因として挙げた。あわせて、デジタル通貨実証事業「プロジェクト漢江」や単一銘柄レバレッジETFを巡る対応も主要な論点となった。

韓国国会の企画財政委員会による国政監査が同日、ソウル中区の韓国銀行で開かれ、シン総裁は今後の金融政策について「物価と景気の動向、金融安定の状況を綿密に点検し、追加利上げの時期やペースを判断していく」と述べた。

韓国銀行は7月と8月の2会合連続で政策金利をそれぞれ0.25ポイント引き上げ、3.00%とした。物価圧力が続く中、景気回復や金融市場の安定状況を総合的に見極めながら、追加利上げの要否を判断する構えだ。

◆追加利上げの可能性維持、物価と家計債務を警戒

シン総裁は、2会合連続の利上げについて、物価上昇圧力に先手を打つための判断だったと説明した。

アン・ドゴル議員は、利上げが内需や家計、企業に与える負担を指摘し、政策効果とコストの分析を求めた。

これに対しシン総裁は、米連邦準備制度理事会(Fed)に先んじて利上げすることで、市場対応に必要な時間を確保できたと説明した。物価圧力が一段と強まった後に市場環境に押されて金利を引き上げるより、先制的に対応した方が経済的コストを抑えられるとの認識を示した。

物価上昇基調は当面続くとの見方も示した。これまで積み上がったコスト上昇圧力が価格に反映されるうえ、消費回復などで需要面の圧力も強まっており、物価上昇率は相当期間にわたり目標の2%を上回ると見通した。

また、物価安定目標の達成にはコア物価の上昇圧力を先制的に抑えることが重要だと強調した。韓国銀行は、今年と来年の消費者物価上昇率をそれぞれ2.7%、2.3%と見込んでいる。

一方で、政府の拡張財政が物価上昇圧力を高め、韓国銀行の金融引き締めと方向がずれる可能性を指摘する声も上がった。

イ・ジョンウク議員は、大規模な拡張財政が短期的に物価押し上げ要因となり得るとして、金融政策と財政政策の整合性をただした。

シン総裁は、来年度の政府予算案について、国内総生産(GDP)成長率を0.5ポイント、物価上昇率を0.06ポイント押し上げるとの推計を明らかにした。

そのうえで、拡張財政が短期的に総需要を押し上げ、物価に一定の影響を与える可能性は認めつつも、追加的な物価押し上げ効果は大きくない可能性もあると説明した。財政政策と金融政策が実際に食い違っているかどうかについては、分析を進めているとした。

不動産市場と家計債務の増加基調も主要なリスク要因として挙げた。シン総裁は、首都圏の住宅価格上昇と家計債務の増加に伴う金融不均衡への懸念は依然として大きいと述べた。

住宅価格の上昇と家計債務の拡大は金融市場の不安定要因になり得るとして、金融政策の決定では物価だけでなく金融安定もあわせて考慮すべきだとの考えを示した。

◆「プロジェクト漢江」巡り質疑、ETF対応も焦点に

この日の国政監査では、韓国銀行が進めるデジタル通貨実証事業「プロジェクト漢江」の性格や個人情報保護も争点となった。

イ・ジュンソク議員は、同事業が中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入に向けた取り組みなのか、取引情報の管理過程で個人情報侵害が生じる可能性はないのかをただした。

シン総裁はこれに対し、「韓国銀行は2023年以降、汎用CBDCを検討していない」としたうえで、「現在進めているプロジェクト漢江は、ホールセール型のデジタル通貨を軸に、既存の二層構造の通貨・金融システムをトークン化する作業だ」と説明した。

プロジェクト漢江は、中央銀行が個人に直接デジタル通貨を発行する仕組みではなく、中央銀行と市中銀行で構成される既存の通貨体制をデジタル環境に適用する事業だという。

個人情報の管理についても、既存の金融システムと同様に各銀行が顧客情報を管理し、韓国銀行は銀行間の資金決済を担うと説明した。こうした構造を踏まえ、プロジェクト漢江を通じて個人情報を監視する懸念はないとの立場を強調した。

金融業界で相次いだハッキング事故に関連しては、プロジェクト漢江に複数の安全装置を設け、人工知能(AI)を活用した脅威も織り込んだうえで、相応の安全性を確保していると述べた。

単一銘柄レバレッジETFに対する韓国銀行の対応が不十分だったとの指摘も出た。

チョン・ソンホ議員は、単一銘柄レバレッジETFの導入後に株式市場のボラティリティが拡大したにもかかわらず、韓国銀行が関連リスクを十分に警告できなかったと指摘した。

韓国銀行は6月の金融安定報告書で、単一銘柄レバレッジETFの導入について、国内投資資金の海外流出防止や海外資金の流入拡大に寄与すると評価していた。

シン総裁はこの日の国政監査で、当時は国内株式市場やメモリ半導体関連株のボラティリティを十分に把握できておらず、評価は適切ではなかったと認めた。

そのうえで、「金融市場に責任を負う立場として、国民の信頼に十分応えられなかったことを申し訳なく思う」と述べた。

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