バックアップは別の保存先にコピーするだけでは十分ではない。画像=ChatGPT

重要なファイルを外付けHDDやクラウドにコピーしただけでは、十分なバックアップとはいえない。ランサムウェア感染や誤削除、操作ミスによる破損が起きた際、過去の状態に戻せる仕組みまで備えて初めて、実用的なバックアップになるという指摘が出ている。

Gigazineが10日付(現地時間)で伝えたところによると、ソフトウェアエンジニアのアレクサンダル・フィリポフスキは個人ブログで、バックアップは保存先を増やすだけでなく、復元を前提に設計すべきだと訴えた。

同氏は幼少期、家族写真をPCから外付けHDD1台に移した後、データを失いかけた経験があるという。父親がそのHDDをテレビのセットトップボックス用にフォーマットし、ファイル一覧が消えたためだ。最終的に写真は復元できたものの、データを1カ所にしか置かない危険性を強く意識するきっかけになったとしている。

別の保存先にコピーしていても、元データと同期する仕組みであれば、誤削除やランサムウェアの被害がそのまま反映される恐れがある。2台のディスクに同じデータを書き込むRAID1も、過去の状態に戻せるバックアップの代替にはならない。そこで必要になるのが、特定時点のデータを保持する「スナップショット」だ。

バックアップの取得頻度は、どこまでのデータ損失を許容できるかを示す復旧時点目標(RPO)に基づいて決めるべきだという。例として、直近14日分の日次、7週分の週次、12カ月分の月次バックアップを保管する「GFS」方式を挙げた。新しいデータは細かく、古いデータは間隔を空けて残す考え方で、変更のないファイルを重複保存しなければ、保存容量や転送コストの抑制にもつながるとしている。

保存先の分散も欠かせない。代表例として挙げたのが、データのコピーを3つ用意し、2種類の媒体に保存し、そのうち1つを別拠点に置く「3-2-1原則」だ。サーバー環境では、ファイルのアクセス権限に加え、データベースの整合性も確認する必要があるという。

Amazon S3のようなクラウドストレージでは、ファイルの権限や所有者情報が自動的に保持されない可能性がある点にも注意が必要だ。小さなファイルを大量に送信すると、リクエストコストが膨らむことも課題として挙げた。

自前で仕組みを組むのが難しい場合は、BorgBackupやResticといった専用ツールの活用も選択肢になる。フィリポフスキは、バックアップが実際に復元できるかどうかを6カ月ごとに試すよう推奨した。重要なのはコピーを持つことではなく、必要なときに確実にデータを復元できることだとしている。

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