欧州連合(EU)と中国は、中国製プラグインハイブリッド車(PHEV)のEU向け輸出を今後4年間で半減することで合意した。中国は見返りとして、自動車部品など年40億ユーロ相当の欧州製品に対する関税を引き下げるほか、希土類の輸出許可手続きも円滑化する。
10日付のCleanTechnicaなどによると、今回の合意は、EUによる中国製電気自動車(EV)への関税措置後に中国メーカーがPHEV輸出を拡大したことを受けたものだ。EUは2年前、中国製EVの流入急増を理由に追加関税を課したが、当時は中国製PHEVを同様の対象にはしていなかった。
その後、中国メーカーはバッテリー容量や航続距離、効率を高めたPHEVを投入し、欧州市場で販売攻勢を強めてきた。
EUのマロシュ・シェフチョビチ貿易担当欧州委員は先週、北京を訪れて中国当局と協議した。2日間の交渉を経て、双方は中国製PHEVのEU向け輸出を今後4年間で半減することで一致した。
見返りとして中国は、自動車部品やオリーブオイル、靴など、年間約40億ユーロ規模の欧州製品に対する関税を引き下げる。シェフチョビチ委員は、この措置により欧州の輸出企業の関税負担が年約1億2500万ユーロ軽減されるとの見通しを示した。
交渉では、希土類の供給問題も議題となった。中国商務部は、EU向けの希土類および永久磁石の輸出許可手続きを引き続き円滑に進める意向を示した。
希土類は、EVや風力発電のサプライチェーンに欠かせない重要資源だ。今回の合意は、自動車の輸入数量だけでなく、関連する供給網の安定確保も視野に入れた内容となっている。
双方は今回の合意について、世界貿易機関(WTO)ルールに整合すると強調した。中国商務部も別途声明で、PHEV貿易を巡りWTOルールに沿った理解に達したと説明した。
シェフチョビチ委員は、関税措置よりも輸入量を直接抑える方式の方が、流入台数を減らすうえで実効性が高いとの考えを示した。共同声明でも、WTOルールに基づき、一部品目の関税引き下げや撤廃の可能性を引き続き検討するとした。
もっとも、争点がすべて解消したわけではない。EUが、EVや風力タービンなど先端技術の中核部品について域内生産を求める方針を見直すかどうかや、風力タービンに反補助金関税を課すかどうかは、なお未定だ。
シェフチョビチ委員は、追加協議を来年初めに開く予定だとしている。
今回の合意は、中国自動車メーカーの収益性にも影響を及ぼす可能性がある。欧州市場で競争が過熱し、中国メーカーの採算悪化が進むなか、輸出量が抑制されれば価格維持を通じて収益改善につながる余地があるためだ。
中国では近年、不動産価値の下落や新車販売の不振で内需の重荷が増しており、製造業の輸出が景気下支えの役割を担っている。採算を度外視した低価格販売ではなく、一定の利益を確保できれば、双方に利点があるとの見方も出ている。
EUはこれまでも、中国製品の輸入増が域内製造業に与える影響を警戒してきた。とりわけドイツの自動車業界は販売不振に直面しており、Volkswagenは10万人削減と、ドイツ国内最大4工場の閉鎖計画を打ち出している。
今回の合意は、欧州の自動車産業を保護しつつ、中国との通商摩擦を管理する措置と受け止められている。
2013年には、EUと中国が中国製太陽光パネルの輸出量を自主的に制限する代わりに、EUが関税を課さないことで合意した事例もあった。当時、中国企業は欧州向け供給の制限を受けて価格を引き上げ、収益を改善したうえで、研究開発や工場増設に投資した。
今回も、数量制限と関税調整を組み合わせる手法が採られた。今後、EVやクリーンテクノロジー分野を巡る通商交渉に波及するかが注目される。