Amazon Web Services(AWS)のマット・ガーマン最高経営責任者(CEO)が、データセンター建設を巡る地域社会の反発に反論した。Netflixなど日常的に利用されるデジタルサービスはデータセンターに支えられているとして、インフラ整備の必要性を訴えた。電力消費などを理由に住民の懸念が強まる中、地域の税収増にも理解を求めた。
Business Insiderが今月10日付で報じたところによると、ガーマンCEOは最近のポッドキャスト番組で、「データセンターはすでに日常生活に欠かせないサービスの基盤になっている。この点をもっと積極的に伝えるべきだ」と述べた。
地域でデータセンター建設への反対が起きた場合には、「Netflixを使わないのか」と問いかけることもできると語った。利用をやめるつもりがないのであれば、そうしたサービスを動かすデータセンターの役割も理解できるはずだという考えを示した。
同氏は、NetflixのようなデジタルサービスがAWSのクラウド基盤に依存している点を強調した。データセンターを単なる巨大施設としてではなく、消費者が日々使うサービスを支える社会インフラとして捉えるべきだとの認識を示した形だ。
実際、Netflixは長年にわたり主要なクラウド基盤としてAWSを利用してきた。Netflixは2016年、2008年に発生した障害でDVD発送が3日間停止したことをきっかけに、クラウド移行の必要性を認識したと明らかにしている。2025年の年次報告書でも、コンピューティング資源の大半をAWS上で運用しており、他事業者への移行は容易ではないと説明した。
こうした発言の背景には、米国でAI向けデータセンター建設への反発が強まっていることがある。AIモデルの開発やサービス運用に必要な計算インフラの需要が急増する一方で、電力消費や地域への負担を巡る議論も広がっている。
先月、Fox Newsが実施した調査では、登録有権者の71%が、AI開発を支えるために自宅近隣へデータセンターを建設することに反対すると答えた。データセンターの増設は、もはや技術企業の投資計画にとどまらず、地域社会の政治課題にもなりつつある。
Amazonはこれまでも、データセンター建設を制限する動きに反対してきた。ガーマンCEOは10月2日に公表した文章で、データセンター建設の猶予措置が米国の大規模インフラ拡充を妨げ、世界のAI競争で不利に働く可能性があると主張した。
同氏は、こうした措置が導入されれば、米国がAI競争で自ら不利な立場を招き、その影響が複数世代に及ぶおそれがあるとも警告している。
地域にもたらす経済効果も、Amazonが前面に出す論点の一つだ。ガーマンCEOは、Amazonのデータセンター開発が地方税収の拡大に寄与してきたと説明し、受け入れ地域への支援も引き続き強化する方針を示した。
また、地域にデータセンターがなければ、住民の固定資産税負担は今より高くなっていた可能性がある、といった形で効果を説明すれば、住民の受け止め方も変わり得ると述べた。データセンターは雇用や投資だけでなく、地域財政にも影響を与えるという認識を示した格好だ。
今回の発言からは、データセンターを巡る論争が単なる立地問題ではなく、デジタルサービスの基盤、地域経済への波及効果、そして米国のAI競争力にまで関わるテーマになっていることがうかがえる。Amazonとしては、サービス基盤としての必要性と税収面の効果を併せて訴え、地域の理解を得たい考えとみられる。