米半導体企業の2026年7~9月期利益は大幅増益を維持する見通しだが、伸び率は前四半期から鈍化する可能性がある。それでも、AI関連需要を背景にS&P500全体の利益は前年同期比30.6%増が見込まれており、市場では大型テックの巨額投資が実際の収益とキャッシュフローにつながるかに関心が集まっている。
9日付のCryptopolitan報道によると、London Stock Exchange Group(LSEG)は米半導体企業の7~9月期利益が前年同期比約136%増になると予想した。4~6月期の約158%増からは伸びが鈍るものの、S&P500全体の伸びを大きく上回る水準となる。
テクノロジー関連銘柄に加え、Alphabet、Amazon、Meta Platformsの3社は、今四半期のS&P500増益分の約3分の2を占める見通しだ。AIインフラや関連サービスへの需要が、企業業績を押し上げる主因になっている。
一方で、業績見通しの上方修正ペースには一服感も出ている。EarningsScoutの最高経営責任者(CEO)、ニック・ライチ氏は、企業利益予想の上方修正モメンタムが鈍り始めたと指摘した。AIインフラ投資の流れについては、自動車が時速150マイルから100マイルに減速するようなものだと説明し、成長は続くものの、勢いはこれまでほどではないとの見方を示した。
もっとも、半導体市況そのものが失速したとみるのは早い。ライチ氏はMicron Technologyの足元の業績について、なお堅調だと評価した。Micronは先月、当四半期の業績ガイダンスを市場予想を上回る水準で示し、長期供給契約に基づく顧客コミットメントも320億ドルに達した。
アジアの主要半導体企業でも、AI需要を追い風とした業績改善が鮮明になっている。Samsung Electronicsは、広帯域幅メモリ(HBM)需要などを背景に、7~9月期の営業利益が107兆4000億ウォンになる見通しを示した。市場予想の106兆1000億ウォンを上回っており、確定すれば4四半期連続で過去最高を更新する。決算発表は10月29日の予定だ。
TSMCも、9月売上高が5118億6000万台湾ドルとなり、前年同月比54.6%増だったと発表した。7~9月期売上高は1兆4900億台湾ドルとの推計があり、会社側ガイダンスの上限を上回ったという。
S&P500全体の業績見通しも堅調だ。LSEGによると、7~9月期の利益増加率は集計ベースで30.6%と予想されている。4~6月期の53.7%からは低下するものの、年初時点と比べれば見通しは大きく切り上がった。利益増加率予想は1月1日時点の15.1%から、4月1日に21.3%、7月1日に27.6%へと上昇している。
現時点で早期に決算を発表したS&P500構成銘柄19社のうち、84.2%が市場予想を上回った。売上高の増加率は11.8%だった。ただ、先行きは増益ペースの鈍化も見込まれており、10~12月期の利益増加率は28.9%、2027年1~3月期は19.8%に低下すると予想されている。
4~6月期の利益増加率は、2021年以降で最も高い水準を記録した。AlphabetとAmazonのAI関連投資に伴う評価益を除いても、増加率は約35%に達したとの分析もある。AIの利益押し上げ効果が一部テック企業にとどまらず、指数全体に広がりつつあるとの見方が出ている。
市場の関心は本格化する決算シーズンに移っている。今週はJPモルガンとゴールドマン・サックスの決算発表を皮切りに、主要企業の業績開示が本格化する。S&P500は足元でテクノロジー株高を背景に過去最高値を更新したが、その株高を支える業績が続くかは別の論点だ。
とりわけ注目されるのは、大型テックのAI投資拡大と収益性のバランスだ。Microsoft、Alphabet、Amazon、Meta Platforms、Oracleが計画する設備投資額は、今年1月時点の約4850億ドルから、7月には約7300億ドルへと急増した。AIデータセンターをはじめとする関連インフラ投資の拡大が背景にある。
投資負担も表面化している。AlphabetはAI関連コストの増加などを受け、6月期のフリーキャッシュフローが59億ドルのマイナスとなった。2026年の設備投資見通しも1950億~2050億ドルへ引き上げた。
AI需要が半導体企業とS&P500全体の業績成長を引き続き支えられるかが、今後の焦点となる。半導体セクターの増益率が鈍化しても高成長を維持する可能性はあるが、投資家は今後、AI投資の規模だけでなく、それが持続的な利益とキャッシュフローにつながるかを一段と厳しく見極めることになりそうだ。