カルダノ創業者のチャールズ・ホスキンソン氏が、イーサリアム共同創業者のヴィタリック・ブテリン氏によるAI関連の暗号セキュリティ懸念を批判した。AIの進展が格子暗号の安全性を揺るがすとの見方は根拠に乏しく、耐量子暗号への移行を遅らせる恐れがあるとしている。暗号資産メディアのU.Todayが9日(現地時間)に報じた。
ホスキンソン氏はX(旧Twitter)への長文投稿で、ブテリン氏の主張について、格子暗号を巡る根拠の薄い不安をあおるものだと反論した。格子暗号は現在、耐量子暗号を支える中核技術の一つと位置付けられている。
ブテリン氏は、AIによって数学的発見のスピードが加速すれば、今後2年以内に格子暗号の安全性の前提が大きく揺らぐ可能性があると主張した。AIが既存の安全性の前提を覆す新たな数学的ショートカットを見つける可能性がある、というのがその論拠だ。
これに対しホスキンソン氏は、そうした見方は推測の域を出ず、数学的な裏付けも乏しいと指摘した。格子暗号は数十年にわたって研究と厳格な検証が重ねられてきた分野であり、研究者は新たな攻撃手法に関する知見を反映しながら、安全性の前提を継続的に強化してきたと説明した。
さらに、こうした発信はサイバーセキュリティ分野全体に深刻な悪影響を及ぼしかねないと警告した。格子暗号への不信感が広がれば、量子コンピュータからインターネット通信を守る取り組みを阻害する可能性があるという。
格子暗号の安全性に疑念が広がれば、既存の暗号方式からの移行が遅れる恐れもある。ホスキンソン氏は、その結果、将来的に盗み取られかねない機微情報が危険にさらされることになると述べた。
今回の論争は、イーサリアム研究者のジャスティン・ドレイク氏が「バンカーモード」と呼ぶセキュリティ危機に警鐘を鳴らした直後に起きた。ドレイク氏は、将来的にAIが暗号資産取引の承認に使われる楕円曲線デジタル署名アルゴリズム(ECDSA)を無力化する可能性があると主張していた。
十分に大きな数学的ブレークスルーが起きれば、公開鍵から秘密鍵を想定よりはるかに短時間で導き出せる可能性がある、というのが同氏の説明だ。
ブテリン氏は、AIが前例のない速度で数学研究を進展させる可能性があるとして、ドレイク氏の見方を後押しした。一方で、暗号資産の保有者に対しては、拙速な判断や資金移動は控えるよう呼びかけた。