リーナス・トーバルズ氏 写真=Linux Foundation提供

Linuxカーネルの創始者、リーナス・トーバルズ氏は10月9日(現地時間)、AIについて、プログラミング学習のハードルを下げる有用なツールだと評価する一方、重要な開発業務への適用には慎重であるべきだとの考えを示した。TechRadarが報じた。

同氏は、AIがジュニア開発者や若年層のプログラミング学習を後押しする可能性があると説明した。洗練された成果物があふれるなか、初心者は自分の小さな試みを見劣りすると感じがちだが、AIは学習の初期段階のハードルを下げ、関心や学習意欲の継続につながるという。AIを「プログラミングへの入り口となるツール」と位置付けた。

その一方で、重要な開発業務にAIをすぐ適用することには慎重な姿勢を示した。AIを適切に使うには、利用者自身が「何をしたいのか」「成果物はどうあるべきか」を正確に理解している必要があると指摘した。まずは小規模な実験的プロジェクトや個人プロジェクトで試すのが望ましいと述べた。

また、AIが生成した脆弱性報告やパッチが、Linuxの保守体制に負担をかけている現状も改めて問題視した。2026年5月中旬に、Linuxのメーリングリストが有用性の低いAI生成レポートによって、ほぼ管理しきれない状態になったと明らかにしていたという。

異なる人が同じツールを使って同じ問題を繰り返し見つけることで、重複報告が積み上がる。保守担当者は、すでに修正済みの案件を分類し直したり、担当者に振り分けたりする作業に時間を取られたとした。

さらに同氏は、AIがほとんど使われていないコードからも問題を見つけ続けていると説明した。その結果、保守担当者は重要なパッチと優先度の低いパッチを同時に処理しなければならないという。一方で、全体としてはコードベースの改善に寄与しているとも付け加えた。

課題は、こうした状況が保守担当者のストレスを高めている点にある。同氏によると、保守担当者サミットでは議論の約4分の3が、コード生成やレビューを含むAIツールをどうすれば負担軽減に役立つ形で活用できるかに集中していた。

対応の方向性については、AIの利用を抑えるのではなく、むしろ活用を進める流れにあると説明した。パッチの殺到に対抗するため、AIベースのパッチレビューも使われているといい、実際に「ボットがボットと会話する」ような状況も起きていると述べた。

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